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緒言
網膜静脈血栓症において見られる網膜血管の拡張や新生は,近年螢光眼底血管造影法の開発や網膜トリプシン消化法,電子顕微鏡等の病理組織学的研究の進歩により,従来単に検眼鏡のみの観察で認められていた以上に,より広範にかつ多彩に発達しているものであることが明らかになつてきている。網膜静脈血栓症において出現する網膜血管の拡張や新生は,循環障害による網膜のHy—poxiaを補わんとする生体防御反応にほかならず,個々の症例において示されるさまざまな血管拡張あるいは血管新生の様相は,循環障害の範囲や時間経過,さらには病態改善の予後をも示唆しており,重視されるべき所見である。著者らは1971年の第25回日本臨床眼科学会において,25眼の網膜静脈血栓症に対して抗凝血療法と光凝固の併用療法を行なつて,網膜浮腫の消退,視力改善に著効をおさめた治療成績を報告したが1),その後さらに症例がふえて1972年10月1日現在までに,42名43眼の網膜静脈血栓症を上記の方法により治療し,経過を観察している。これら43眼の症例について,さまざまな網膜血管拡張あるいは新生の発生過程が観察でき,さらにこれら新生血管が光凝固を施行することにより種々の変容を示し,光凝固が加えられる部位と範囲によつて一定の型式で変化し消退していくことが判明した。これらの知見をここに報告する。
Eight cases of obstruction of central retinal vein and 34 cases (35 eyes) of branch obstruc-tion have been successfully treated by xenon photocoagulation during the foregoing 21 mon-ths. Fluorescein angiography has shown variousinstances of retinal neovascularization in affected retinal areas as well as vasodilation or areas closure of the retinal vascular bed.
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