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連載 眼科図譜・193
光凝固に対して特異な経過を示した糖尿病性網膜症における大静脈瘤の一例
A CASE OF PECULIAR OVERGROWTH OF DIABETIC VARIX INTO LARGE LOOPS FOLLOWING DIRECT PHOTOCOAGULATION
福地 悟
1
,
鈴木 康彦
1
Satoru Fukuchi
1
,
Yasuhiko Suzuki
1
1関西医科大学眼科学教室
1Department of Ophthalmology, Kansai Medical School
pp.1273-1274
発行日 1973年11月15日
Published Date 1973/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205028
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〔解説〕
62歳,男子の糖尿病性網膜症(Scott IIIb)に見られた拡大進行性の大静脈瘤およびビーズ玉状拡張部に対して,拡大や破綻性出血の防止のために直接光凝固を施行した。その時期待した効果は,大静脈瘤周囲組織の瘢痕化によつて無制限の増大を防ぎ,血管外漏出を抑制し,また大静脈瘤の縮小ないしは閉塞を計ることにあつた。しかし直接光凝固の結果は,大静脈(実はloop)のまわりに側副路が形成され,これが拡張して主流となり,より一層大きいloop形成を見るに至り,螢光漏出も前にも増して著明となつた。またビーズ玉状拡張部も,光凝固後は芽をふき出すように急速に憩室状になり,さらにloopへと進展した。今回の経験から,比較的太い口径の糖尿病性血管病変を直接に光凝固することは,かえつて病態を悪化させるので行なうべきでないと思われる。むしろ血管の両側でこれに接するごとくその周囲網膜を凝固することと,その近辺にあるanoxic tissueを十分凝固することがよい凝固法と考える。
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