Japanese
English
連載 眼科図譜・156
斜顔面裂症の1例
A CASE OF OBLIQUE FACIAL CLEFT
青木 功喜
1
,
藤岡 憲三
1
Koki Aoki
1
,
Kenzo Fujioka
1
1北海道大学医学部眼科学教室
1Dcpartment of Ophthalmology, Hokkaido University School of Medicine
pp.1309-1310
発行日 1970年11月15日
Published Date 1970/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204391
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〔解説〕
症例は5歳の女子で,正常分娩にて出生し,家族歴,既往歴に特記すべき所見ない。斜顔面裂症はまれな疾患であり,生存していく場合も少ない。しかし軽い場合は上口唇あるいは眼瞼の単純な切れ込み,あるいは両者を結ぶCongenitaler NarbenStreifenが存在するにすぎない。両側性の方がいくらか多く,片側の時は左側が多いという。遺伝的関係で証拠づけるものはなく,また種々な奇形を合併することが多い。今までの報告例中では鼻涙管と披裂の関係およびその処置方法についての論説は少ない。われわれの症例では左の鼻腔が右のそれのために圧迫されて鼻中隔の存在もはつきりしない。Fossa lacrimalisの存在も当然なく,左眼窩の形は右より大きく異常な辺縁を呈している。すなわち涙のうが正常の位置に落ち着かず,下方で外側寄りに大きくづれていることがモルヨドール注入をケタラール麻酔下で行なうことにより推測された。すなわち下部の涙点がモルヨドールを注入するに,上涙小管の途中と思われる点から排膿後にモルヨドールを混じてさらに排膿をみたので,十分排膿してから,モルヨドールを3cc追加した後20分後に涙のう撮影を行なつた。その結果は第3図に見られるごとく涙点の真下に卵形に見られ,上記のごとき推定が考えられた。涙小管は上下ともに存在するが上涙小管の先端すなわち涙点は見られず,涙小管の断端と見られるところを,上眼瞼内皆部に見られる小突起の先端に認める。
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