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I.はじめに
角膜実質の潰瘍は,あとに不正乱視とか角膜の混濁を残すから,潰瘍の発生を起こさないように注意しなければならない。もし不幸にして潰瘍ができた場合は,その進行をできるだけ早い時期に止めることが必要である。しかし残念なことに,今までは角膜の潰瘍の発生予防,あるいは進行防止には完全な方法はなく,いまでも相当の数の患者が潰瘍のために視力を失つている。
実質の潰瘍に共通の症状は,実質の破壊である。角膜の実質は,コラーゲン線維で構造を保つており,実質の破壊はとりもなおさず,コラーゲン線維の破壊を意味している。コラーゲンは非常に丈夫な蛋白で,生理的なpHではコラーゲナーゼ以外のいかなる酵素にも侵されない。だから,実質潰瘍の場合のコラーゲンの破壊は,コラーゲナーゼによつておこると推定するのがむしろ自然である,コラーゲナーゼは大きく分けると,Clostri—dium hystoliticumから作られる細菌性のコラーゲナーゼと,オタマジャクシの尾ではじめて発見され1),その後皮膚2),子宮3),歯肉4)5)滑液膜6)7)などでも検出された動物性のコラーゲナーゼの二つがある。角膜にはいろいろの原因による実質潰瘍があるが,Clostridiumを証明できないのが普通である。言葉をかえていえば,細菌性のコラゲナーゼで角膜潰瘍の成立を説明できない。
The collagenase activity was evaluated in nor-mal corneal epithelium using culture technique. The activity was higher in ulcerated cornea. An inhibitor for corneal collagenase, edathamil cal-cium disodium (EDTA-Ca), successfully prevent-ed corneal ulceration experimentally produced in rabbits by alkali burn.
These findings indicate that the collagenase plays an active role in the pathogenesis of cor-neal ulceration.
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