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I.緒言
網膜剥離に対するScleral bucklingの材料として従来合成樹脂が多く用いられてきたが,これらの材料は硬軟いずれの素材であつても,時として異物としての反応を起こしたり,結膜下や眼球内へ脱落することがあり,網膜の復位は良くても最終的には抜去しなければならないという欠点があつた。そこで最近は,同化あるいは吸収性の材料,特に人体組織の利用が注目されるようになつた。
1961年Paufiqueは裂孔部の強膜層間にポケットを作り,人眼強膜をその中に挿入する方法を発表した。その後,欧米においては,網膜剥離に人眼強膜を用いる数種の手術法や,それらの結果が報告されるようになつた。しかし本邦においては浅山教授らや武田氏のほか報告をみない。われわれはけPaufiqueの原法に従い,網膜剥離4例に保存人眼強膜を用いた手術を行なつたが,かなりの成績を得た。またこれと同時に,移植強膜片の母眼に対する反応を調べる目的で,家兎を用いてPaufiqueの手術方法で同種保存強膜移植を行なつた。さらに人眼に対する異種強膜移植の可能性を調べる予備実験として,家兎に対して犬眼保存強膜移植を行ない,組織学的検索を加えた。今回はこれらの成績について発表する。
The results with intrascleral implants in the surgical treatment on 4 cases of retinal detach-ment sugggest that homologous human sclera preserved in 70% Ethanol is well toreraled bythe ocular tissures. All cases were completely cured by this procedure and sever complications have not been observed. Experience with same technique with preserved rabit sclera implants and dog sclera implants performed on rabit eyes is reported, these enclosed grafts were examined histologically at intervals ranging from 10 days to days after operation.
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