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I.緒言
好発年齢が2歳以下といわれる網膜芽細胞腫が,視機能のみならず生命の予後に及ぼす影響は,早期に発見治療されるか否かによつて大きく左右される。しかし,乳幼児眼底検診が普及していない今日,網膜芽細胞腫と診断される時にはすでにかなり進行していて,重症側眼の摘出を余儀なくされるのがほとんどといつてよい。したがつて,本症が15%以上の頻度で両側性に出現することから,われわれは軽症側眼の保存に全力を投じなければならないし,たとえ片側性であつても,他眼の定期検査は十分にくり返される必要がある。
われわれは,眼球摘出後の病理組織学的検査によって,分化型網膜芽細胞腫と診断された3症例の軽症側眼に対して,Zeiss光凝固装置による光凝固を主とした保存的療法を経験した。このうち第1例は,百々,平田16)(1964)が報告したもので,ここにその後の経過を報じ,2症例を追加する。
In 3 cases of bilateral retinoblastoma, non-enucleative procedures (light coagulation, dia-thermic coagulation and use of anticarcinoge-nic preparations) were administered to the eye with the milder degree of affliction. The at-tempt proved successful in not only destroying the tumor, but at the same time it was possi-ble to restore visual acuity to practically that of normal.
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