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I.緒言
脳内石灰沈着はレントゲン写真を読影するに当つて,きわめて重要な手がかりを与える。脳内石灰沈着には,病的な場合と非病的と認められる場合とがあり,非病的石灰化像としては,松果体石灰沈着,脈絡叢の石灰沈着,その他,大脳鎌,小脳天幕,トルコ鞍部,上矢状洞壁,Pacchioni小体,下垂体などにおける生理的な石灰の沈着の場合を主とし,病的な場合としては,脳腫瘍の石灰沈着,動脈壁石灰沈着,古い脳膿瘍や脳出血,脳動脈瘤,皮様嚢腫,寄生虫の存在などの場合の石灰沈着がある。
われわれがここに報告しようとする症例は,腫瘍の発生,寄生虫の介在などの病的な原因がなくして,ほとんど正常と考えられる脳室内に巨大な石灰球があり,比較半盲,うつ血乳頭,めまいなどの症状を示し,脳腫瘍の疑いにて,摘出手術を行なつた例であり,剔出物は組織学的検査では脳砂腫と認められた例で,しかも,術後8年を経た今日においても,患者は手術侵襲に基づく脳障害を残すほかは健在であり,石灰沈着の再発もない。すなわち同名比較半盲,うつ血乳頭を起こして始めて発見されたまれな脳室内石灰沈着例である。
A man aged 43, complained asthenopia, ocular pain and nausea. Rightsided relative homonyme hemianopsia, intraventriculare calcification, and afterwards papilledema were detected.
By operation, several calcified tuberculums were extracted. The surrounding tissues of this calcified tuberculums did not contain tumor-cell, but calcified blood vessels, calcified zell, bleeding and psamomas. Those series of calcification are a histological proof of the process constricting calcified tuberculum.
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