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I.緒言
人眼網膜剥離の剖検例,動物眼における実験的網膜剥離の病理組織学的検査の成績によれば,剥離した網膜の変化は視細胞層に始まり,日を経るに従い網膜全層の変化が著明となることが知られている。最近著者の1人中村1)が有色家兎眼の網膜下に液状シリコンを注入した実験的網膜剥離の微細構造を経時的に電子顕微鏡で追求した成績によれば,剥離発生後既に数時間にして視細胞外節に明らかな病変の出現を認めている。又中森2)は同じ方法で作成した実験的剥離網膜の組織呼吸を測定したが,急カーブを描いて経日的に低下することを認めた。更に中村1)は実験的剥離網膜の自然復位したものの微細構造をも検したが病変を蒙つた網膜が,病変を呈する色素上皮層に単に接着していると言つても過言ではなく,剥離作成前の状態に完全に再生修復されることはとても考えられない。
人眼の網膜剥離,特に特発性網膜剥離はこのような実験的網膜剥離と自ら異る点があり同一視することは出来ないにしても,剥離による網膜の障害,復位後の状態に関しては類似性のあることは推定に難くない。このように人眼網膜剥離においても剥離した網膜に不可逆性の変化が大なり小なり起ることは有力に推定されるものの,一旦復位治癒すれば,大部分のものにおいて,剥離当時と比して視機能が改善向上するのは紛れもない事実である。
During the period from August, 1962 to July, 1966, 217 eyes were operated upon for retinal detachment, and the retina was reattached in 174 eyes (82.1%) among them. Excluding 19 cases with macular hole treated successfully, the visual acuities before and after reattach-ment were compared in residual 155 cases.
In the cases with detachment of the macula the visual acuities before treatment ranged from hand movements to 0.6. After reattach-ment of the retina the visual acuity was improved in more than 90 per cent of the cases cured.
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