印象記
ミユンヘン国際眼科学会
鹿野 信一
,
中泉 行正
,
桐沢 長徳
pp.83-90
発行日 1967年1月15日
Published Date 1967/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203579
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どうも出発前より確実に学会印象記を頼まれていたのでないので,今,筆をとつてみると,何だか,本当に材料不足,怠けものの日記になつてしまう。読者の方に申訳ないことだが。
まず,端的に一言で申上げると国際眼科学会という本会議は全く一つのお祭り,ceremonyであるということになる。このように全世界の人が集り,広い会場で,限られた時間に,一応多くの人に話させようとするとき,そこに掘りさげた議論を期待するのは土台無理ということであろう。5日に亘る本会議よりも,その前後におこなわれた多くは限られた人数で,いわば非公開の,日本でいうグループディスカッションがある。それは,数日同じホテルにとまり,同じ食事をしながら,缶詰生活をしつつ,意見をたたかわす幾つかのシンポジウムで,ミュンヘン付近のあちらこちらの市,町で開かれたが,この方が遙かに学問としてみのり多いものであつたようである。そのシンポジウムの1つ,生化学の部門には1日阪大の水川教授も司会をされている。いわばフリートーキングに近い形式のこの会は,興いたれば時間のことは念頭になく討論がつづく。欧米の人々には日頃この様な会議をもつ機会も多く互に顔みしりであり各々の持論を知つた上の討論であるが,我々日本人にはあああれが誰かというような初対面のことが多く,にのような会を立派に司会をされたことは大変のことである。
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