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ドイツ通信—〔ミユンヘンにて〕
樋口 謙太郎
1
1九州大学
pp.847
発行日 1957年9月1日
Published Date 1957/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202055
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マリヤ・セルの結婚
街を歩いていると大きな貼紙が出ていてマリヤ・セル(Maria Schell)結婚すとあり,新夫婦が花束を抱いて自動車に乗つている写真がでているのを見附けました。記事には,『彼女は某月某日誰々と結婚する。しかし結婚の場所は秘密である。花婿の紹介ならびに彼女の新婚生活を細々と本誌は近く報ずる予定である。独占記事として彼女のO.Kをとつている。○○夕刊を早速手にとられよ』とあり,某夕刊紙の広告でした。それから数日経つて朝刊紙の報ずるところによりますと,ミユンヘンから南西70キロのアルプスに近いウイーズ(Wies-草原Wi-eseの真中にあるのでこんな名がついたのだそうです)という小さい町の由緒ある教会でプロヂユサーの某氏と結婚式をあげたということです。フアンや物ずきの人が沢山おしかけ,ニユースカメラマンの写真機,ラヂオのマイクロホンの砲列で身動きできなくなり,警官の整理でやつと式をすましたといいます。
マリヤ・セルといえば映画『居酒屋』で一やく有名になり,日本でも話題をまいた女優です。美人とはいえませんが,大変愛嬌のある顔附きをしています。『居酒屋』のあと,あちこちで映画を撮つて,現在はここミユンヘンの郊外に住んでいます。私も彼女の住居の附近を散歩したことがありますが,イザール河に沿つた静かな所です。
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