Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
クロロキン(レゾヒン)は,1934年Andersagによつて合成され,1938年Kikuthによつて,マラリヤ治療剤としての効果を認められたが,最近では,リューマチ,エリテマトーデス,腎炎等,所謂膠原病に対する抗炎症剤としての有効性が認められ,広く治療に応用される様になつた。しかしその有効性が認められると共に,副作用として2,3の特殊な症状が眼に表われる事が知られる様になり,且つ多くの報告がなされ,最近では,Mayer,Penner等が,クロロキンの副作用を,可逆的な角膜の変化及び不可逆的な網膜の変化に分け,後者を防ぐ為には,常に眼科的観察を必要とする事を報告している。
私は今回,クロロキン投与中に角膜の溷濁を来した症例及び網膜に変化を伴つた症例を,2〜3観察する事が出来,幸にその中の1例につき,病理解剖を行う事が出来たのを機会に,之等より得られた所見を再検討し,更にHobbs等が行つた,家兎における実験的クロロキン中毒の報告をもとに,他覚的にその早期発見が可能なりや否やを検討する為に,実験的クロロキン中毒を,あえて家兎を用いて行ない,種々考察し得る事が出来たので,ここに報告致します。
During a chloroquine-therapy, a few cases accompanied by corneal clouding and changes of the retina were observed and one of them was submitted to pathological anatomy.
There were some changes in the retina and liver, seeming by produced by administration of chloroquine, and in another case, the repro-ducing E. R. G. after light adaptation was delayed and the ascending part in the b-wave was disturbed.
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.