臨床実験
硝子体内非磁性異物の摘出成功例に就いて
弓山 真弓
1
1岡大眼科
pp.809-811
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202229
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我々眼科医の切なる願い,それは現在殆んど拱手傍観を余儀なくされ,僅に対症療法のみによつて満足しなければならない状態の網膜,脈絡膜,硝子体疾患の一部に対して直接外科的侵襲を加え得ないものであらうかと云う事である。例えばこれから報告する眼内非磁性異物を始めとして増殖性網膜炎,硝子体動脈遺残,眼内腫瘍及び炎症等に直接且つ安全に外科的手術を加えらるならば,今迄隔靴掻痒の感を以つて治療し脾肉の歎をかこちつつ只空しく経過を観察して一喜一憂していた無能状態に対し,大きな希望の門戸を開く事となり,只に患者のみならず我々眼科医にとつても大きな福音をもたらすものと云うべきであろう。ここに於いて我々はたとえ一歩たりともこの夢の完成に近づきうるならば幸なりとの観点より眼球開壁術と銘うつ手術を追試し,改良研究を重ねつつある次第である。
今日尚浅く本法の禁忌,適応,術式その他細部に亘る諸点については更に検討を要する点の多々ある事はいなめないのであるが,今後に期待される躍進えの一試金石となり得るならばと愚考し臨床実驗の機会ある毎に敢えて禿筆をかつて発表し諸氏の御批判,御追試を仰ぎたいと存ずる次第である。
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