特集 第7回臨床眼科学會
普通講演
(30)眼球開壁術に關する研究(臨床的研究)—眼内非磁性異物の摘出に就て
赤木 五郎
1
,
松香 雅夫
1
,
栗本 淸次
1
1岡山大學眼科
pp.236-238
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201766
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眼内異物の内,磁性物質の摘出に就ては,今日X線と磁石との應用に依つて左程の困難を感じない程度まで進んで居る,然し非磁性異物の摘出に就ては後述の樣な色々の方法が工夫されては居るが,摘出に成功する場合は寧ろ僥倖であつて毎常成功するとは云い得ない現状である。我々は若しも眼球壁を大きな,障碍を殘すことなく然かも眼内を充分に觀察するに足る程度の大さまで哆開し得る方法が見出し得たならば,眼内異物の摘出は極めて容易に行われ得る事は勿論,眼内の腫瘍,炎衝,結締織などに對しても直接施術の路が開かれ今日迄到達し得なかつた領域に或る程度のメスを加え得る可能性を見出し得るであろうと考えて居る。我々は此の方法を,眼球開壁術と呼んで居る。眼球開壁術を阻む大きな障碍因子として我々は大體三つの者を擧げる事が出來る。
第一の因子は硝子體脱出の問題である。眼球は平均20粍水銀柱内外の内壓を持つからして大きく開壁すれば當然大量の硝子體が漏出する。即開壁時の硝子體漏出に基くHypotonia bulbi更に進んでは眼球萎縮の問題である。之に對しては現今では硝子體移植術或は置換術が發達して居るので,我々は此を應用する事に依つて或る程度防止し得るものであると考えて居る。即我々は開壁前豫め硝子體を吸引して,眼球を平壓の下に開壁し施術後,壁を縫合して後再び豫め吸引して置いた硝子體液を眼内に注人する方法に依つて或る程度第1因子を征服する事に成功して居る。
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