臨床實驗
過熟白内障の轉歸に就て
桑島 治三郞
1
1東北大長町分院
pp.51-53
発行日 1952年1月15日
Published Date 1952/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201045
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
通常白内障は4期に區別し手術を適應とするのは成熟期とされているが,手術法細部の改良によつて今日では之と説を異にする人が多い。即ち未熟期の膨脹白内障及び成熟白内障は固より,嚢内全摘出を行うならば敢て期を選ぶ必要もない。唯過熟期になると水晶體の收縮の爲に前房は深くなり,更に一層古くなれば水晶體質の一部石灰沈着乳状化或いは液化が起り,液化した中に核だけが沈降して所謂Morgagni氏白内障と呼ばれ,時には内容が吸收されて不透明な膜だけが残つて膜状白内障を呈することがあり,斯る時期には同時に硝子體の液化,虹彩振盪,水晶體の脱臼,更に續發緑内障などを伴うことがあり,手術に際しても偶發事故に遭遇すること多くその轉歸は端倪すべからざるものがある。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.