臨床實驗
近業近視眼軸延長説の根據に於ける根本的な誤り
佐藤 邇
pp.338-339
発行日 1951年5月15日
Published Date 1951/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200856
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近視の眼軸が正視や遠視に比較して一般に長い事は18世紀より知られていた。Greefe-Saemisch Hdb.1910年,屈折篇の335頁によると,Plempius (1632)が初めて近視眼軸の長い事を記載しておる相である。以後之を確認した者は多數に有る。私も眼軸を光學的及び解剖學的に從來の全症例より多く,且つ正確に測定し,屈折と眼軸との關係は從來信ぜられた樣な密接な關係ではないにしても全般的に觀ると近視の眼軸は矢張り一般に長い事を認めた日眼,48卷,489頁,542頁,昭和19年)夫故近視の眼軸が一般に長いと云う事には誤が無く今更ら問題とす可き點は殆ど無いのである。
之に反し現在近視研究の最大の論議の的となつているのは次の點である。即ち近業が後天的に發生せしめる原因は,從來信ぜられた如く眼軸を延長する爲か(眼軸説)? 或は著者が主張する如く水晶體が適應的に屈折力を増加せしめる爲か(水晶體適應説,或は屈折説)? と云う事が問題となつているのである。
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