臨床實驗
佐藤氏「近視説」批判を讀みて
大村 博
1
1盛岡赤十字病院眼科
pp.488-490
発行日 1950年11月15日
Published Date 1950/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200719
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最近佐藤氏が,臨眼誌上(3卷,11,12号)に,自説の水晶体屈折説を,最も優秀なりとして最近の近視説を批判し,私の説も批判されているので所感を述べて見たい.私の論文は発表当時戰後とは云え,未だ印刷の紙数制限と費用に惱まされ目己の意の儘に傳える事が出來ず,誤解の点もあると思い此の機会に少しく述べたいと思う.先ず氏は私の説を次の如く解釈されている.
(1)「網膜反射は……而して反射は屈折が近視になるに從い消失し各型あり」.私が用いた各型と云うのは,眼軸伸展の部位の種類を述べたのであつて氏の解釈した各型は,各型に夫々移行型が認められると理解して頂き度い.私の論文の骨子は眼軸の伸展に因ると考えられる高度近視の反射形態えの移行型が軽度近視より屈折度が進むに從い認められると云う点にある.氏は此の項の批判として,相沢氏の討論を引用し而もワイス氏反射と云う特殊な症状に就て述べ,肝腎な黄斑部反射に就ては述べておらぬ.而も相沢氏の討論は正確な発表もなく此の樣な事を引用し比較されたのでは迷惑である.成程ワイス氏反射は遠視,正視にも見られるが,その年令的変化も見て考察せねば單なる反対論としか思えぬ.該反射は近視と深い関係のある事は,今も信ずるものであるが,その本態に就ては後日発表したいと思う.
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