特集 最近の栄養問題
岩田昌一氏の論文を讀んで(2)
島田 敏夫
1
1日医大
pp.13-15
発行日 1953年10月15日
Published Date 1953/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201271
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食生活は文化の進むと共に発達し且複雑化する。昔各地に分散した人々はそれ等の地域に発達した食生活を好むと好まざるに関らず余儀なくされ,現在の知識よりすればそれは栄養学的に不充分な且つ偏在した満足の下に生活したとものと考えられる。栄養学的に不完全であつたが故に,屡々個人的にも国家的にもその消長が劇しく変動したことは想像される。最近になつて彼等が外襲に対する,殊に食糧不足の場合全ての面に於ての抵抗性を各々敏速且容易に比較出来ることが容易になつたので,それ等劣勢の原因が長い歴史を経て習慣となつた食生活の相異に大きな影響を受けていたことが明瞭になるに及び急速に食生活の学問である栄養学が注意されたのはむしろ当然である。殊に戦後は我国に限らず全世界の人々が栄養学の必要を痛切に感じてきた。そこで一栄養学をつの体系を持つた学として取扱い人類の福祉に貢献させようとした事と必然性の結果であり,又これに依て従来の医学教育の盲点をも解消しようとしたものであるといえる。それ故にこそ遅蒔きながら医学教育の過程に栄養学講座を設けることになったのである。然れば栄養学を医科大学に於て如何なる内容を以て教授されるべきかが問題となる。この時に当り岩田氏の医科大学に於ける栄養教育の内容に就ての論文を読み,誠にその構想に於て,又具体的の分類に於ても全く同感であつて,将来は勿論現在に於ても氏の構想に準した栄養学が教授されることが望ましい。
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