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岡氏の「膀胱神經症について」を讀みて
稻田 務
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1京都大學醫學部泌尿器科教室
pp.1-2
発行日 1953年1月1日
Published Date 1953/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200881
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- 文献概要
本誌第6巻,第6號に掲載されている岡直友博士の論文「膀胱神経症について」を讀んで大いに啓發される所があつた。膀胱神経症の問題は泌尿器科學の中にて比較的暗黒の領域にあり,今後大いに研究せられるべき所であるが,同氏が敢て此の部門に研究と考察のメスを加えられた事に對し敬服する次第である。此の問題は豫てから余の研究せる「膀胱三角部異常症」と密接な關係があり,然も同氏の論文中に余の謂う膀胱三角部異常症に關するかなり重大な發言がなされているので,その點に就て感ずる所を簡單に述べようと思う。
岡氏は云う「稲田教授は,所謂膀胱神經症から膀胱三角部異常症なる疾患を獨立されているが,氏の論文を熟讀してみると,これとても膀胱神経症の範疇を脱するものではないような氣がするのである」と。然し余が同氏の論文を熟讀してみると,必ずしも余の論支を熟讀していられないのではないかと思われる節があるし,又余には稍々理解しがたい所もある。氏は余の論文を「皮膚科紀要」と「日本泌尿器科雑誌」とに就て讀まれた様であるが,之らは紙面の關係から要點のみを述べたものであるから,精しくは著書「膀胱三角部異常症」を参照せられたい。
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