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はじめに
最近新しい眼内レンズ(intraocular lens:以下,IOL)二次挿入術として,IOL強膜内固定術が登場した。従来わが国においては,IOL二次挿入における第一選択の術式として,IOL縫着術が用いられてきた。しかし縫着術は,煩雑な縫合操作が必要なこと,術後にIOL傾斜や偏心などの合併症を高率に認めること,縫着用IOLが必要なことなどの問題点を有している。そして最近では,縫合糸の劣化の問題が指摘され,新しいIOL二次挿入術の登場が待たれていた。
強膜内固定術の基本術式は,眼内に挿入したIOLの支持部を,強膜内に作製した小孔より硝子体鉗子などで把持して眼外へ抜き出し,その支持部先端を強膜トンネル内に挿入して固定するというものである(図1)。その概念は,2007年にドイツの眼科医であるGaborら1)により初めて報告された。その術式自体はシンプルでわかりやすかったが,実際に行ってみると難しく,その後にほかの術者による追試の報告はなかった。
2008年にはインドのAgarwalら2)により,フィブリン糊を用いたglued IOL techniqueが報告された。術式自体はより洗練されたものとなったが,フィブリン糊は感染のリスクを有すること,その使用にはインフォームド・コンセントが必要なこと,接着力が弱いことなどの問題点を有している。
筆者3)は2009年より本手術を開始し,より簡便で安全な術式であるY-fixation technique(図2a)を考案して実際の臨床例に用い良好な術後成績を得てきた。現在までに約300眼の症例に本手術を行ってきたが,重篤な合併症は認めていない。本稿においては,Y-fixation technique3〜6)とその改変型であるT-fixation technique7)の基本手術手技,術後成績,利点と問題点について述べる。
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