Japanese
English
特集 糖尿病黄斑症は今こう治療する
抗VEGF薬
Anti-vascular endothelial growth factor drugs
大谷 倫裕
1
Tomohiro Otani
1
1群馬大学大学院医学研究科病態循環再生学講座眼科学分野
pp.28-33
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105078
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)は糖尿病患者の9~10%に起こり,視力低下の主原因の1つとなっている1)。治療としては,毛細血管瘤からの漏出によって起こる局所性浮腫に対しては毛細血管瘤への光凝固が有効である。一方,びまん性浮腫に対しては格子状光凝固2)が行われてきたが,その効果には限界があった。日本国内ではびまん性黄斑浮腫に対し硝子体手術3)が行われることも多いが,視力の改善は50%前後にとどまっている。薬物治療は,ステロイドの硝子体内注射が有効であるものの4),白内障や眼圧上昇などの副作用が指摘されている。
加齢黄斑変性では,血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が脈絡膜新生血管の発症に関与しており,VEGFを標的とした薬物治療はすでに主流となっている。VEGFはDMEの病態にも深く関与しており,抗VEGF薬は今後DME治療の中心になると考えられている。本稿では,DMEとVEGF,抗VEGF薬の有効性について述べる。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.