Japanese
English
特集 眼底疾患と悪性腫瘍
原発性眼内リンパ腫
Primary intraocular lymphoma
後藤 浩
1
Hiroshi Goto
1
1東京医科大学眼科学教室
pp.42-49
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105080
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はじめに
眼内リンパ腫は稀な疾患であるが,高率に中枢神経系(central nervous system:CNS)リンパ腫を併発するため,眼科医がかかわる疾患のなかでは最も生命予後不良な疾患の1つである。一方,本症はぶどう膜炎と誤診されやすいこと,すなわち仮面症候群としての側面を有していることから,診断や治療は常に遅れがちな疾患でもある。実際,本症の60~90%にCNSリンパ腫を発症1,2)し,その5年生存率は30~60%3,4)ときわめて不良であるにもかかわらず,眼症状出現からリンパ腫としての診断が確定するまでに平均1年以上の時間を要しているのが現状である3)。
CNSリンパ腫が先行し,すでに診断が確立している場合は眼内リンパ腫の診断は比較的容易である。しかし,眼症状が先行した場合は,まず眼科医がこの疾患に遭遇することになるので,眼底検査などによって本症に特徴的な所見を確認し,鑑別疾患の1つとして眼内リンパ腫を想起することが求められる。
本稿では,眼内リンパ腫の臨床的特徴と診断へのアプローチ,さらに現在行われている治療法について概説する。
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