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はじめに
滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)は黄斑部に脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)をきたす疾患で,欧米では50歳以上の中途失明者の最も主要な原因であり,日本でも急増している。AMDはフルオレセイン蛍光造影(FA)およびインドシアニングリーン蛍光造影(ICGA)により,典型的加齢黄斑変性(typical AMD:tAMD),ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV),および網膜血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation:RAP)の大きく3つに分類され,近年の報告で欧米の白人とは異なり,日本を含むアジアではPCVの割合が高いことがわかってきており1,2,3),人種差の関与が示唆されている。
AMDのCNVは脈絡膜から発生していることから脈絡膜の異常が関与していることは疑いないが,視細胞や網膜色素上皮などの視機能に直結する部位に直接作用しないこと,FAによる脈絡膜描出の限界やICGAの解像度の限界もあり,詳細な検討はなされていなかった。ICGAは脈絡膜血管を直接的に観察できるため,CNVそのものを描出し病変のサイズを評価することが可能である。ただし実際には厚みを持った組織である脈絡膜を二次元的にしか描出できないため,その深さなどの情報を得ることは不可能であった。病変を三次元で解析可能な光干渉断層計(OCT)でも,CNVによる網膜色素上皮の隆起や滲出による漿液性網膜剝離をみることで間接的にCNVの活動性を評価することはあっても,脈絡膜そのものの評価には最近まで用いられることはなかった。
2008年にSpaideら4)が市販のOCT装置を用いてEnhanced depth imaging OCT(EDI-OCT)と呼ばれる脈絡膜を観察する方法を報告した。それ以降,さまざまな疾患のOCTによる脈絡膜の画像診断の報告が本格的になされるようになった。
本稿ではEDI-OCTの手法を用いて研究されたAMDの脈絡膜観察について,最新の話題を含めて述べる。
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