Japanese
English
特集 脈絡膜の画像診断
強度近視
The imaging of choroid in eyes with pathologic myopia
大野 京子
1
Kyoko Ohno-Matsui
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野
pp.1740-1748
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103994
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はじめに
強度近視眼では眼軸延長や後部強膜ぶどう腫の形成に伴い,網膜脈絡膜が伸展によって菲薄化し,近視性網膜脈絡膜萎縮や近視性脈絡膜新生血管(近視性choroidal neovascularization:CNV)などの種々の眼底病変を生じ,これらが視覚障害の原因となる。
同じ眼底の血管でも,網膜血管と脈絡膜血管は病的刺激に対する反応性が異なる。網膜血管においても,強度近視眼では動脈の直線化や静脈の折れ曲がり減少や網膜毛細血管瘤などのさまざまな変化を生じ,これらの変化は近視性牽引黄斑症の有無と関連していること1),また,強度近視眼では正視眼や弱度近視眼に比較し網膜血流量が減少していること2)などが報告されている。一方,脈絡膜血管系は強度近視眼における機械的伸展に伴い高度に菲薄化し,特に眼底後極部において脈絡膜大血管の数が激減し,ときに顕著な血管再構築がみられることが,インドシアニングリーン赤外蛍光眼底造影(IA)や近年のenhanced depth imaging OCT(EDI-OCT)によって明らかになってきた3)。おそらく強度近視は,さまざまな眼病態のなかで広範囲の脈絡膜血管系に最も劇的な変化が生じる病態ではないだろうか。
そこで本稿では,強度近視の脈絡膜画像診断について,IA,EDI-OCT,高侵達OCTなどによって得られた所見を提示し,さらにこれらの所見がどのような病的意義を持つのか考えたい。
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