やさしい目で きびしい目で・136
知ることの楽しさ
前嶋 京子
1
1群馬中央総合病院
pp.549
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103624
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研修医生活を終え臨床に明け暮れる生活のなか,基礎の研究室で血管新生の研究をしてくれる人を探しているとの話があり,何となく基礎研究の門をたたいてみました。臨床の場では,医者として治療の楽しさを実感し,若気ながら少々得意げになりはじめた頃,昔習った化学の基礎知識すら思い出せない状態で,モルの計算,実験試薬を作ることから,さまざまな実験手技を習得するまで,日々黙々と勉強する毎日でした。結果を客観的に評価しそれを検証する地道な作業は,努力と忍耐も必要ですが,ここは山場と自分を制しながら,PubMedで論文検索をしながらモチベーションを上げる,眼科医から今度はにわか科学者になったような生活でした。
そんな少々ストイックな大学院生活でしたが,実験結果を早く知りたいという好奇心や,結果をみるときのドキドキ感は,ほかでは味わえないものです。結果に一喜一憂し,ラボの仲間と実験秘話(?)に花を咲かせながら飲み会をするのも非常に大きな楽しみでした。大学院に進み,未知の事を知るという楽しさと責任感の合わさったような感覚を感じ取れたのが自分には大きな宝であったように思われます。
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