Japanese
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特集 新しい手術手技の現状と今後の展望
緑内障手術―インプラント
Current tube shunt surgery 2011
千原 悦夫
1
Etsuo Chihara
1
1千照会千原眼科
pp.150-154
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103536
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はじめに
眼球は閉鎖空間であり,この中に毛様体から房水が分泌され,その房水が水晶体や角膜内皮を栄養した後,主に2つの排出ルート(Schlemm管系とぶどう膜強膜流系)によって眼外に排出される。房水産生は交感神経β2受容体のコントロールを受け午前8~12時は1分あたり2.97μlの産生量であるが,午後には2.68μl/分に落ち,夜中から朝6時には1分あたり1.28μlに落ちる1)。このことが夜間における低眼圧やβ遮断薬に対する不感性の原因と推測されている。
もし,疾患によって房水の排出が完全に止まった場合,閉鎖空間である眼球にどのくらいの穴を開ければよいのかを調べた報告によると,その直径はわずかに12μmであった2)。最近日本では漸くインプラントに対する関心が高まりつつあるが,インプラントチューブの内径が305μmであるという事実だけみても,単純にチューブを差し込むだけではダメであることが理解されるであろう。
緑内障インプラント手術は100年以上の歴史を積み重ねて改良がなされ,ようやく一般的な医療として認知される水準に達した。これからこの手術をしようという方はこれまでの苦難の歴史を注視し,どのようにすれば安全に良好な成績を上げることができるのかを理解しておく必要があるであろう。
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