特集 知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防
Ⅲ 緑内障 5 緑内障インプラント(ロングチューブ)手術
松田 彰
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科
pp.1009-1014
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003301
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わが国においても線維柱帯切除術の不成功症例や成功が望みにくい症例を中心に緑内障インプラント(ロングチューブ)手術の施行症例が増加している。緑内障インプラント手術のメリットは,チューブとプレートを利用することで房水の濾過部位を眼球の後方に設置することにより濾過部位の瘢痕化を軽減することにある。一方で,術後低眼圧,チューブやプレートの露出,チューブの閉塞,角膜内皮障害といったチューブシャント手術に特有な合併症を生ずることがあり,その対策と予防法に習熟することはチューブシャント手術を施行するうえで大切である。わが国では2012年にバルベルト緑内障インプラント(Baerveldt glaucoma implant:BGI)が,2014年にアーメド緑内障バルブ(Ahmed glaucoma valve:AGV)が承認されて,本格的にチューブシャント手術が施行されるようになってきた。一方,欧米諸国ではそれ以前に多くのチューブシャント手術が施行され,合併症対策や予防法に多くの知見が蓄積されていた。緑内障チューブ手術の会はチューブシャント手術の先駆者であるフロリダ大学のMark Sherwood先生をはじめとする米国のチューブシャント術者の手術を直接見学し,同時に国内での経験を共有することで,チューブシャント手術の合併症対策やその予防法に関するデータを発信してきた1)。本稿ではそのような知見と私自身の経験を合わせて記載したい。なお,毛様溝からのチューブ挿入に関しては,既報の論文2)や総説3)も参考にされたい。
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