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緑内障インプラントの歴史
緑内障インプラント手術は,眼房水を眼外に導出する医療材料(glaucoma drainage device:GDD)を使って房水排出路を確保しようとする術式のことを総称している。インプラントは大きく分けると,非穿孔手術における“lake”を維持するために用いられるコラーゲンインプラント(Aqua-Flow),SK-gel,T-fluxなどといったもの(図1)と,濾過胞をつくるために使用されるチューブ状のものとに大別される。濾過を目的とするものには100年以上の歴史があり,初期のウマの毛を差し込むだけの手術から種々の改良がなされ,合併症との戦いが長く続いた。現在も新しいインプラントの開発は続いており,例えば2005年にはSolx社からGold micro-shunt(GMS)という隅角底から毛様体上腔に差し込むものが報告された(図2)1)。
筆者らは20年以上このインプラント手術に取り組み,開発の変遷をみてきた。きわめて個人的な感想ではあるが,現時点で開発競争で残りそうなのはAhmed Glaucoma Valve(New World Medical社),Baerveldtインプラント(アボット社),Moltenoインプラント(Molteno Ophthalmic社)の3つであるように思われる。2009年2月の時点で,Pub Medでglaucoma drainage deviceを調べると712の論文が見つかる。キーワードをAhmed glaucoma valveとすると158件,Baerveldt glaucoma implantでは84件の論文がリストアップされる。その他で多いのは歴史の古いMolteno implantの171件で,これらの3つは文献に登場する数でその他のEX-PRESS eye shunt 10件,Krupin-Denver implant 7件,White pump shunt 10件,ACTSEB(Schocket)10件,Drake implant 1件などを圧倒している。
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