特集 網膜硝子体診療update
Ⅲ.手術治療update
黄斑浮腫に対する硝子体手術
白神 史雄
1
1香川大学医学部眼科学教室
pp.182-186
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102482
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はじめに
1990年代になって確立された黄斑部手術のなかで黄斑浮腫に対する手術に対しては,過去に何ひとつ無作為抽出臨床比較試験は行われておらず,いまもなお,その適応,術式の選択などにおいて統一された見解に至っていない。また,最近では,トリアムシノロンアセトニド(以下,トリアムシノロン)や抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抗体などの薬物療法の出現で,手術療法に対する関心は低くなっている。特に,網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion:CRVO)や網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:BRVO)では抗VEGF抗体の硝子体内注入が第一選択と考える方向性にあり,これらの疾患に対する放射状視神経切開(radial optic neurotomy:RON)1)やA/Vシーソトミー2)はほとんど行われていないのが現状である。
一方,黄斑浮腫のなかで代表的な疾患である糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)においては,予想に反して抗VEGF抗体がそれほど有効でなく,硝子体手術の有効性を実感しているわが国では,硝子体手術がいまもなお重要な選択肢である。そこで本項では,糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術を中心に述べる。
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