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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・9
地図状脈絡膜炎
Geographic choroiditis
廣瀬 茂樹
1
,
福本 敦子
1
,
北市 伸義
1
,
大野 重昭
1
Shigeki Hirose
1
,
Atsuko Fukumoto
1
,
Nobuyoshi Kitaichi
1
,
Shigeaki Ohno
1
1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座眼科学分野
pp.2100-2104
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102087
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はじめに
地図状脈絡膜炎(geographic choroiditis)は匐行性脈絡膜炎(serpiginous choroiditis)とも呼ばれる稀な疾患であり,脈絡膜および網膜色素上皮を主座とする慢性かつ再発性の炎症性疾患である。本病の原因は不明であるが,過去に報告されたいくつかの疾患はいずれも同一であると考えられており,現在複数の疾患名が混在している1)(表1)。このうち日本眼科学会『眼科用語集』に正式に採録されているのは地図状脈絡膜症,地図状脈絡膜炎,匍行性脈絡膜炎の3つである。
また,点状脈絡膜内層症(punctate inner choroidopathy:PIC),急性網膜色素上皮炎(acute retinal pigment epithelitis),多巣性脈絡膜炎(multifocal choroiditis),多発消失性白点症候群(multiple evanescent white dot syndrome:MEWDS),急性後部多発性斑状色素上皮症(acute posterior multifocal placoid pigment epitheliopathy:APMPPE)などとともに白点症候群(white dot syndrome)の1つと考えられている2,3)。
本病の進行様式,眼底所見には特徴がある反面,他の脈絡膜および網膜色素上皮疾患との類似点もみられる4,5)。眼底病変は徐々に進行し,やがて黄斑部にまで及べば視力予後は不良となる。なお,多くの症例は両眼性である。
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