Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
症例
患者:31歳,男性化
主訴:両眼羞明,流涙,異物感,瘙痒感
現病歴:2001年頃より両眼の羞明,流涙,異物感,瘙痒感を自覚した。近医を受診しThygeson点状表層角膜炎と診断された。0.02%フルオロメトロン点眼液(0.02%フルメトロン点眼液(R))およびヒアルロン酸ナトリウム点眼液(ヒアレイン点眼液(R))にて加療された。症状の改善が認められないため,2003年6月,当科を紹介され受診した。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
初診時所見:視力は右眼0.2p(1.2×S-2.00D()C-1.00D Ax80°),左眼は0.2p(1.5×S-2.50D),眼圧は右眼9mmHg,左眼10mmHg(NCT)であった。細隙灯顕微鏡検査では両眼の角膜上皮から上皮下に及ぶ微小な点状混濁の集合体からなる混濁病変を認め(図1a,b),同部位に一致した点状のフルオレセイン染色像を認めた(図1c,d)。病巣間は透明であり,角膜実質内には細胞浸潤は認められなかった。また軽度の結膜充血を認めたものの,前房内に炎症所見は認められなかった。両眼の角膜知覚の低下は認められなかったが,涙液検査(シルマーⅠ法)では右眼4mm,左眼3mmと涙液分泌低下を認めた。フォトケラトスコープ(PKS)では角膜上皮病変部に一致してマイヤーリングの不整を認めた(図2)。共焦点角膜顕微鏡検査では,病巣に一致する角膜上皮層に高輝度・無定形の混濁病変を認めた(図3)。
臨床所見および病歴からThygeson点状表層角膜炎と診断し,0.01%リン酸ベタメタゾンナトリウム点眼液(リンデロン点眼液(R))を1日4回点眼により経過を観察した。点眼開始翌日より,病巣に一致した点状のフルオレセイン染色は減少し,病巣は徐々に上皮性の混濁を残して瘢痕化した。自覚症状も改善したことから,現在は0.02%フルオロメトロン点眼液(フルメトロン点眼液(R))の点眼で経過を観察している。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.