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症例
患者:35歳,女性
主訴:右眼の視力低下
現病歴:1997年12月,右眼の視力低下を自覚し,1998年1月に近医で周辺部角膜変性症を指摘され手術が必要と説明を受け,精査・手術目的で当科を紹介され3月に受診した。
治療経過:初診時の視力は,左0.4(0.8×S-1.00D=cyl-3.00D 90°)であった。角膜輪部4~8時にかけての角膜実質の著明な菲薄化および血管の侵入,脂質の沈着を認めた(図1a,b)。眼底および中間透光体は異常を認めなかった。テリエン角膜辺縁変性の診断で,1998年7月に左眼に対し表層角膜移植術を施行した。術後経過は順調で,移植片の透明度も良好である。手術により倒乱視は軽減した(図1c)。最終視力は,左1.0(1.2×S+0.50D=cyl-1.50D 90°)と良好であるが,自覚的に単眼複視を認めた(図1d)。
ウェーブフロントアナライザー(KR-9000PW®,トプコン)を用いて波面収差測定を行った(図2)。マイヤー像は,角膜下方にむけて楕円状に変形しており,Hartmann像は,角膜形状異常による下方の像の歪みを認めた。Axial Powerは,下方に急峻化を認め,角膜の高次収差のカラーコードマップでは,コマ様収差が存在していることがわかった。屈折の全収差カラーコードマップでは,垂直方向と水平方向の波面が異なっていた。屈折および角膜の高次収差カラーコードマップは同じパターンを示し,不正乱視が角膜由来であることがわかった。RMS(root mean square:2乗平均平方根)表示では,瞳孔径6mmのときにS3のコマ収差の数値が大きくなっていた。波面収差解析により中心視力が良好であるにもかかわらず単眼複視を訴えるのは,角膜不正乱視によるものと判断した。
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