連載 MY THERAPY in series・13
胞状奇胎の処置
高見沢 裕吉
1
1千葉大学
pp.654-655
発行日 1963年8月10日
Published Date 1963/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202866
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胞状奇胎の診断は妊娠初期の出血を主訴とし,これに子宮増大度が一般に大きいことや,つわり様症状の強いこと,妊娠初期にもかかわらず尿蛋白陽性となることや,出血にもかかわらず外子宮口の開かないことなどにより疑いがもたれる。そして子宮口よりゾンデを挿入すると羊膜のないために抵抗なく子宮腔に入り易いこと(Sounder test),尿フリードマン反応0.01cc陽性,また妊娠6カ月以上の場合には胎児撮影法により胎児の欠損証明により奇胎妊娠と確診する。
かくして奇胎妊娠と診断できても,これが破壊奇胎を併存しているかどうかに判定の方法がない。しかし奇胎妊娠子宮着床部を組織検査すれば,トロホブラスト(以下Trと略)が基底層から筋層にまで侵入している。この侵入は,Tr単独細胞浸潤いわゆるChoriale Invasionのみでなく,Tr集団として筋層浅くに侵入しているものも多い。さらに子宮壁血管内にもTr栓塞や血管破壊を来たしていることも時に見られる。従つて奇胎妊娠治療に当つては,このようなことを考慮して行なわねばならない。
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