今月の臨床 絨毛と胎盤をめぐる新知見
絨毛性疾患の病態・病因論
1.胞状奇胎・侵入奇胎
大場 隆
1
,
三好 潤也
1
,
片渕 秀隆
1
1熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学分野
pp.207-213
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102585
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はじめに
胞状奇胎をはじめて記載したのは紀元前400年のヒポクラテスとされる1).ほとんど医学の歴史とともにあったこの疾患の臨床と基礎それぞれについて,ここ十数年の間に新しい知見が得られている.臨床面では,医学の発達に伴い,われわれ産婦人科医が遭遇する胞状奇胎の臨床像が変容し,診断を行ううえでこれまでの取り扱いでは対応できない問題点が生じてきた.また細胞遺伝学の発展により,胞状奇胎の発生にはインプリンティング異常がかかわっていることがわかってきた.本稿では,胞状奇胎の病態・病因それぞれについて最近の知見を紹介する.
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