特集 エコー 診療マニュアル
婦人科
13.卵巣癌—充実性
落合 和徳
1
,
渡辺 明彦
1
Kazunori Ochiai
1
,
Akihiko Watanabe
1
1慈恵医科大学産婦人科
pp.1388-1389
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904978
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症例 S.I.16歳(図1)
1ヵ月前より腹部膨満感,嘔気があり,近医受診,腹部腫瘤を認め精査のため来院した。既往歴はなし。臍上に達する腫瘤を触知し,腫瘍マーカーはAFP 16000 ng/ml,CA 125 2200 U/ml,CAM PAS(+)であった。
超音波像:充実部を主体とした腫瘤で内部に出血,壊死を思わせるecho freeな部分,あるいは嚢胞部分の混在する像を認める。充実部分は不均一であり,それぞれの境界も不整である。付属器領域にこのような腫瘤を認めた場合,卵巣癌を疑わなければならないが,その原発臓器をめぐり鑑別すべき疾患は多数あり,年齢,病歴,身体所見,腫瘍マーカー値,他の画像診断を含め総合的に診断する必要がある。手術診断は右側卵巣に発生したYolk sac tumor,stage IIcで右側付属器摘出術と左卵巣楔状切除,大網部分切除を行い,術後PVB療法を施行した。
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