特集 私の手術・Ⅱ
胞状奇胎の手術
東條 伸平
1
,
山下 澄雄
1
Shinpei Tojo
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.575-578
発行日 1969年7月10日
Published Date 1969/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204065
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まえがき
胞状奇胎は,その嚢胞性変化を肉眼的に証明しうるため,存在については,きわめて古くより知られており,荒唐無稽な奇話をも含めていろいろな見解がなされていたが,1895年Marchandによつて,本症がジンチチウム細胞およびラングハンス細胞の異常増殖とそれに伴う絨毛基質の水様様膨張であると報告されて以来,定説として一般に認められるようになつている。
しかしながら,その原因については,いろいろの説があり,いまだ確立したものがない。したがつて,胞状奇胎の予防ということになれば,それはまさに未来への指向点といつた程度であり,現在における胞状奇胎の治療は,本症の確診がつけばできるだけ早く奇胎の完全排除につとめることが肝要であり,術後は一定期間患者を厳重なる管理のもとにおき,破壊性胞状奇胎,絨毛上皮腫の続発に対して,早期に適切なる処置を行なわねばならない。
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