原著
抗カルジオリピン抗体陽性妊婦の胎盤病理所見—Perivillous Fibrinoid change(PVFC)について
若浜 陽子
1
,
和田 芳直
2
,
中山 雅弘
1
Yoko Wakahama
1
1大阪府立母子保健総合医療センター病理
2大阪府立母子保健総合医療センター母性内科
pp.819-822
発行日 1990年9月10日
Published Date 1990/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904889
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抗カルジオリピン抗体陽性母体35例の胎盤および付属物を病理組織学的に検討した。診断された母体合併症としてはSLEが最も多かったが,抗カルジオリピン抗体強陽性者においても自己免疫疾患などの症状を示すことなく,ただ流産のみ繰返す症例も多かった。胎盤重量は軽い傾向にあった。肉眼的には梗塞の像を多く認めたが,この梗塞部の組織像は妊娠中毒症の梗塞所見とは異なり,Trophoblastの部位に一致して,厚い縁取りを持ったFibrinoid変性が見られた。また,流産物の絨毛においても同様の変化を認めた。また,この部位の組織免疫学的検索ではTrophoblast表面に微細顆粒状のIgG沈着を認めた。われわれはこの所見をPerivillous fibrinoid change(絨毛周縁フィブリン様変化)—以下PVC—と名付けた。
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