特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(13)抗カルジオリピン抗体
市川 健司
1
,
小池 隆夫
1
Kenji ICHIKAWA
1
,
Takao KOIKE
1
1千葉大学医学部第2内科
pp.212-214
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900851
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
抗カルジオリピン抗体(aCL),ループスアンチコアグラント(LA),梅毒血清反応の生物学的偽陽性を起こす抗体などの,いわゆる抗リン脂質抗体は,全身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとする自己免疫疾患にしばしば認められる.最近,これらの抗リン脂質抗体が,子宮内胎児死亡,各種血栓症,中枢神経症状,血小板減少などの臨床症状と関連することが明らかにされ,1986年,Hughes,Harrisら1)により,上記徴候を呈する患者群に対し"抗リン脂質抗体症候群"という疾患概念が提唱された.
自己免疫疾患患者や,明らかな基礎疾患を持たずに上記の抗リン脂質抗体症候群の臨床症状を呈する患者において,抗リン脂質抗体を正確に測定することは,本症の予後を知り,また治療計画を立てるうえで重要である.本稿では,抗リン脂質抗体のなかでも特に注目されているaCLの固相酵素抗体法を用いた測定法および測定上の問題点を述べ,その臨床的意義を概説する.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.