特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
2.血液凝固系の検査
13)抗カルジオリピン抗体
松浦 栄次
1
,
小池 隆夫
2
Eiji MATSUURA
1
,
Takao KOIKE
2
1北海道大学医学部生化学第一講座
2北海道大学医学部第二内科
pp.141-145
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903107
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はじめに
抗リン脂質抗体症候群とは,血栓症,習慣流産,および血小板減少などの症状を有し,かつ,抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラントなどの抗リン脂質抗体が出現する自己免疫疾患である.近年,本疾患の患者血清中で検出されるいわゆる"抗リン脂質抗体"は,カルジオリピンなどのリン脂質そのものを認識しているのではなく,血液凝固反応の制御蛋白であるβ2-グリコプロテインI (β2-GPI)やプロトロンビンなどとリン脂質との複合体を認識していることが示された.特に,抗カルジオリピン抗体は,カルジオリピンと結合することで構造変化を起こしたβ2-GPIを認識する自己抗体,すなわち,抗β2-GPI抗体であると考えられている.本稿では,抗カルジオリピン抗体の特異性および測定法について解説する.
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