原著
卵巣間質細胞由来良性腫瘍の臨床的検討—悪性腫瘍診断の誤判別を中心に
柿木 成子
1
,
滝沢 憲
1
,
村井 加奈子
1
,
井口 登美子
1
,
武田 佳彦
1
Shigeko Kakinoki
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.695-702
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904869
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卵巣の間質細胞山来腫瘍(線維腫,莢膜細胞腫)について臨床的に検討し,悪性腫瘍との鑑別点を考察した。対象は線維腫21例,莢膜細胞腫6例であった。全充実性卵巣腫瘍に占める割合は22.4%で,良性充実性卵巣腫瘍に対しても77.1%と大部分を占めた。
線維腫では特異的症状に乏しいが,莢膜細胞腫では高エストロゲンに伴う症状に注意すれば診断はかなり絞られ,子宮内膜癌の合併に注意する必要のあることが示唆された。
術前に悪性らしいと診断する要素は①閉経後の高齢者,②巨大な骨盤内腫瘍,③超音波and/or骨盤CTでmixed pattern,④血清CA−125の100 U/ml以上の高値,⑤Mcigs症候群の合併,⑥子宮内膜の悪性所見の6項日で②,③,④,⑤の4項目はとりわけ悪性卵巣腫瘍と考えられやすい要因と思われた。CA−125と画像診断との有機的な組み合わせによる診断効率向上の必要性が示唆された。
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