特集 良性腫瘍の診断
卵巣の良性腫瘍
滝 一郎
1
Ichiro Taki
1
1九州大学医学部産科婦人科学教室
pp.977-985
発行日 1970年11月10日
Published Date 1970/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204298
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
卵巣腫瘍の良性か悪性かの診断は,もとより組織検査と処置後の追跡によつて決定されるものであるから,手術剔出標本を充分注意して検査し,症例の追跡を確実に行なうべきことはいうまでもない。しかし実地臨床家にとつては,術前に大略の見当がつき,術中の肉眼的所見により可及的最終診断に近い理解を得ることが要求される。これによつて手術を含めた処置の適応,術式の選択が正しく行なわれることになるからである。これを達成するには経験が必要であるとはいえ,各症例の観察を慎重,綿密に行なうことが第一歩であることに疑いはない。また,幸にして日産婦卵巣腫瘍委員会の不断の努力により,多数の卵巣腫瘍に関する集計の結果が相ついで報告されている。卵巣腫瘍を取り扱うに当つて重要な参考事項とすべきである。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.