原著
正期産における羊膜炎の検討
今井 史郎
1
,
中山 雅弘
2
Shiro Imai
1
,
Masahiro Nakayama
2
1大阪府市母子保健総合医療センター産科
2大阪府市母子保健総合医療センター病理
pp.689-693
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904868
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正期産の羊膜炎につき母体および新生児感染の両面から検討した。対象は正期産例のうち胎盤・臍帯の病理組織学的検査より羊膜炎と診断された79症例である。コントロールとして組織学的検索で羊膜炎がない181例を用いた。母体側からは①初・経産,②分娩所用時間および破水後分娩までの時間,③羊水混濁の有無,④分娩時出血量,⑤白血球数,CRP,⑥胎盤および卵膜遺残の有無,⑦その他の産褥の異常等について評価した。その結果,初産例,前期破水例,前羊水の混濁を認めた例に羊膜炎が多く,母体発熱が37.5℃を越えた例,母体白血球数が15,000/mm3以上の例も有意に羊膜炎が多かった。破水後分娩までの時間が12時間までの例は羊膜炎が少なかった。出血量,胎盤および卵膜遺残の有無,その他の産褥異常については羊膜炎発症頻度に差が認められなかった。
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