原著
産婦人科領域におけるBasic fetoprotein測定の臨床的意義について
廣田 穰
1
,
澤田 富夫
1
,
白木 誠
1
,
吉村 俊和
1
,
神谷 貴之
1
,
丸山 邦之
1
,
友松 守彦
1
,
吉村 泰典
1
,
河上 征治
1
,
福島 穰
1
Yutaka Hirota
1
1藤田学園保健衛生大学産科婦人科学教室
pp.703-707
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904870
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Basic fetoprotein(BFP)の腫瘍マーカーとしての有用性と産科領域における測定意義に関し検討を加え,以下の結果を得た。
健常婦人の血清BFP値は75.4+6.0ng/mlであり,加齢にともないBFP値は低下した。月経周期では,卵胞期→黄体期→月経期とBFP値は順次上昇し,女性の性周期とBFP値との密接な関わりが示唆された。Mean+2SDをcut off値とした場合のsensiti—vityは,子宮頸癌55.0%,子宮体癌50.0%,卵巣癌45.0%であった。また子宮および卵巣の良性腫瘍におけるfalse positiveは,各々29.4%,43.8%に認められた。卵巣癌では,明らかな組織特異性は認められなかった。正常妊娠経過中のBFP値は,160ng/ml前後の値を示し,妊娠週数による大きな変動は観察されなかったが,産褥1週目にBFP値は若干上昇した。初期異常妊娠例で,予後良好例と不良例との間にBFP値に解離(P<0.001)が認められ,これら症例での予後判定の有用性が示唆された。
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