今月の臨床 経腟超音波を使いこなす
婦人科腫瘍の鑑別診断
9.卵巣腫瘍—良性・悪性の鑑別法
赤松 信雄
1
1姫路赤十字病院産婦人科
pp.593-599
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903255
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卵巣には,ヒトの臓器で最も多くの腫瘍がある.現在の日本産科婦人科学会と日本病理学会で定めている卵巣腫瘍のリストを表1に示す1).これらに加えて類腫瘍病変(以後,腫瘍と類腫瘍病変を合わせて腫瘤と表現する)として,子宮内膜症性嚢胞,表層上皮封入嚢胞,卵胞嚢胞,黄体嚢胞,多嚢胞性卵巣,卵巣過剰刺激症候群,単純嚢胞,傍卵巣嚢胞,卵巣卵管膿瘍,さらに卵巣妊娠などがある.これらの卵巣腫瘤にはそのエコーパターンや所見がその腫瘤に特徴的なものもある.しかし,類腫瘍病変,良性卵巣腫瘍,境界悪性卵巣腫瘍,悪性卵巣腫瘍の各群の腫瘍間においては類似したエコーパターンや所見を示すことも多い.
しかしながら,類腫瘍病変,良性腫瘍,境界悪性腫瘍,悪性腫瘍の各群間においては,エコーパターンや所見が異なることも多い.そこで,卵巣腫瘍の良性・悪性を超音波断層法によって鑑別しようとする多くの試みが,婦人科腫瘍に超音波断層法が利用され始めたころからなされている.それらの報告には経腹走査による超音波断層像の所見を簡潔な言葉で表現するものが多い2,3).また,超音波所見にスコアをつけて合計点で判別することも行われている4).一方,エコーパターンを図示して一つのパターンを選択することで判別するものもみられる5).
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