症例
AFS class III子宮奇形,重複腟,片側腟不完全閉鎖,留膿症例の経会陰超音波所見について
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
pp.1055-1059
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904436
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女性性器奇形の術前診断にはMRIが有用である.しかし,実地臨床上,ほとんどの産婦人科医がまず第一に施行する画像診断は外来での超音波診断であり,超音波診断にはコスト面や,簡便性,手軽さの点でMRIに勝る一面がある.今回,14歳で帯下異常を主訴に受診したところAFS class III子宮奇形,重複腟,片側腟不完全閉鎖,留膿症,片側腎無形成であった1例を経験した.本症例では術前診断に経会陰超音波を施行し,以下の知見を得た.①全体像の把握は比較的容易であり,膿が貯留した閉鎖腟腔の存在の診断にはMRIと同程度に有用であった.②子宮奇形の診断には困難を伴うが,経直腸超音波(本症例では拒否されたが)などで子宮奇形の診断が可能な症例の場合には,超音波診断のみでも術前診断できる可能性が示唆された.③また,MRIなどのさらなる精査を行うためのきっかけとしての臨床的意義も示唆された.
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