症例
片側腟溜血腫または片側子宮溜血腫で同側腎無形成を伴った重複子宮の2症例
酒井 伸嘉
1
,
中原 健次
1
,
長谷川 剛志
1
,
小田 隆晴
1
,
川越 慎之助
2
,
廣井 正彦
2
Nobuyoshi Sakai
1
,
Shinnosuke Kawagoe
2
,
Masahiko Hiroi
2
1山形県立河北病院産婦人科
2山形大学医学部産科婦人科学教室
pp.297-303
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207972
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われわれは,片側の腟または子宮溜血腫で同側腎無形成を伴った重複子宮の2症例を経験したので報告する。症例1は重複子宮および重複腟の左腟閉鎖のため左腟溜血腫となっており,症例2では重複腟の存在しない重複子宮の左子宮下部閉鎖のため左子宮・卵管溜血腫となっていた。両症例とも思春期の少女で,初経と同時に腰痛や下腹部痛を訴え来院した。症例1は術前に確定診断がなされ,経腟的に閉鎖腟の切開術ならびに造袋術を行い,症例2は開腹により確定診断がなされ,左付属器摘出術後に経腟的に閉鎖子宮の切開術ならびに造袋術を施行した。子宮奇形に尿路奇形が合併することはよく知られているが,本邦で症例1や症例2のようなものは,それぞれ10数例,2例しか報告がなく極めてまれな症例である。これらは奇形の存在を想定せぬ限り診断が困難となることが多いので,先天性女性性器疾患の一つとして,常に念頭に置きながら日常の診療に当たる必要があろう。
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