連載 産婦人科クリニカルテクニツク
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
子宮口が閉鎖した子宮留水腫(留血腫)に対する経腟穿刺細胞診
鳥居 裕一
1
1聖隷浜松病院産婦人科
pp.206
発行日 1997年2月10日
Published Date 1997/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902844
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- 文献概要
高齢者などでは,ときに子宮口が完全に閉鎖してしまい,経腟超音波法などで子宮内膜癌を強く疑うにもかかわらず確定診断ができない症例に遭遇することがある.従来このような症例には麻酔を併用したうえで,細いラミナリアなどで徐々に開大させるとよいと言われている.しかしなかには,細い外科ゾンデすら挿入できない症例を経験することがあり,やむをえず術中に子宮を摘出し,その場で迅速病理に提出し確定診断を下すなどの事態が起こりうる.術前にできるだけ確定診断を下すことは重要と考えられる.そこでこのような場合,10年ほど前より針の長い注射針(カテラン針,20G程度,針長約6cm)を用いて穿刺細胞診を行っている.他の臓器ではしばしば穿刺細胞診が行われていることにヒントを得てはじめたが,簡便で成功率が高いので紹介したい.
具体的には,カテラン針の先端から約2cmの部分を用手的にJ字状に軽く彎曲させ,10ml程度の注射筒(内腔にヘパリンを通しておく)をつけて準備する.次に腟内を消毒し,助手に経腹超音波装置で子宮を描出させ,画面を見ながら子宮の彎曲に沿い外子宮口痕より,針をゆっくり刺入する.子宮外妊娠などの診断で用いられるダグラス窩穿刺と同じ要領である.このとき子宮腟部に鉗子をかけ手前に牽引し,子宮をなるべくまっすぐにしたほうがやりやすい,また感染を避けるため,同じ針で何回も刺すことは避ける.
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