連載 婦人科超音波診断アップグレード・2
経腟超音波の子宮体癌スクリーニングへの応用(1)
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
pp.713-717
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100527
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1 はじめに
近年,閉経後の子宮体癌のスクリーニングに経腟超音波が試みられている.これは,子宮頸管が狭窄し内膜細胞診・組織診の施行が困難な症例の存在,内膜細胞診・組織診の偽陰性例に対する補完の意味合い,非体癌例に対する無用な侵襲を避けるために精査が必要な症例を選別することなどを目的としている.子宮体癌の60~70%以上は閉経後症例であり,閉経後では子宮内膜の周期的変化を考慮に入れる必要がなくなり評価がしやすくなるため,主に閉経後症例が対象とされている.
内膜細胞診・組織診施行不能例について,われわれの検討1)では,約5%に子宮内膜細胞診不能例が存在し,60歳以上ではその割合は7%前後に達していた(図1).そして,子宮内膜細胞診施行不能例557例より最終的に4例(0.7%)(4/557例)の体癌が発見されていた.これは裏を返せば,もし麻酔下に子宮頸管拡張,細胞診,組織診を行うとすれば,残りの非癌例99.3%の症例に不要な侵襲を加えることになる.このような場合などに,経腟超音波により要精査症例を選別しようというわけである.
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