症例
MRI所見が術前診断に有用であったAFS class—Ⅲの子宮奇形,重複腟,片側腟不完全閉鎖(瘻孔形成)・留膿症,片側腎無形成の1例
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
芦原 康氏
3
,
渡場 孝弥
3
,
長多 正美
3
,
杉村 政樹
3
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
pp.743-747
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903668
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今回,われわれは帯下異常を主訴に受診したところ,The American Fertility Society classificationⅢの子宮奇形,重複腟,片側腟不完全閉鎖(瘻孔形成)・留膿症,片側腎無形成であった1例を経験した.本疾患の報告例は本邦で50数例を数えるにすぎず,その術前診断は必ずしも容易ではない.本症例においては,女性性器奇形が念頭に置かれていたことと,MRI所見が術前診断に有用であり,開腹することなく経腟的レーザー腟壁切除術により治療することができた.MRIは自由な撮像方向が得られるため全体像の把握が容易であること,貯留液の性状が診断できる場合があること,隔壁が筋層か結合組織かの鑑別も可能であること,低侵襲であること,感染の合併に関係なく施行可能であること,および非対称性子宮奇形に多い尿路系異常の検索にも役立つこと,などより若年で症状を発現することの多い女性性器奇形の診断に適しており,積極的に行うべきであると考えられた.
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