今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
不妊の治療
5.IVF-ET,GIFT
繁田 実
1,2
1兵庫医科大学分娩新生児部
2先端医学研究所発生生殖部門
pp.572-577
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904014
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
IVF-ETもGIFTも,何らかの原因により生理的な妊娠成立過程に障害が起こった場合にその過程のなかの一部分を介助する補助生殖技術as—sisted reproductive technology(ART)である.IVF-ETは生理的妊娠成立過程のなかの卵の輸送の障害を治療する方法として応用され,その最初の出産例の報告から22年を経過し,わが国でも2世代目が生まれる時期にきている.
その適応は日本産科婦人科学会の見解によれば「この方法以外では妊娠成立が困難な不妊症患者」とされてきたが,実際の適応の基準は各施設における倫理委員会に委ねられている.厳密な診断と適切な適応のもとに行った場合でも,IVF-ET後に自然妊娠が成立するのを経験するとの報告も多く,その判断にはまだまだ困難な点が多い.妊娠の可能性は年齢とともに低下するのは明らかな事実であるので,適応を狭くして治療開始年齢をむやみに遅らせることは避けなければならないが,まだ2世代目についての分析でさえ十分でない現状から考えても,これらの治療の長期的な安全性についてはまだまだ不明であると考えるのが妥当と思われ,次世代につながる生殖医療においては適応の厳格性は守るべき大変重要な項目である(表1).最近は重篤な遺伝性疾患の着床前診断とそれを避けるための選択的妊娠のためにも,この技術を応用することができることが,日本産科婦人科学会の見解に加えられた.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.