今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
更年期・老年期
5.排尿異常と性器脱
松田 秀雄
1
,
中原 健次
1
,
廣井 正彦
1
1山形大学医学部産婦人科
pp.478-485
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903999
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近年の高齢化の進行とがん検診意識の向上やHRTの普及に伴い,日常婦人科外来を受診する中高年女性は増加の傾向にある.更年期,老年期における頻度の高い良性疾患として,尿失禁,排尿困難,性器脱,萎縮性腔外陰炎などが挙げられるが,とくに,尿失禁の潜在的な患者数は数百万人規模(成人女性の28%が経験し,そのうちの15%が治療対象1)といわれ,産婦人科としても今後の取り組みが問われる領域となっている.すでに一部の欧米諸国では臨床的学問領域としてのurogynecologyが定着しつつあり,本邦においても今後発展する領域と思われる.女性生殖器は解剖学的に膀胱・直腸と接しているので,従来婦人科疾患と考えられがちであった性器脱についても,他科とクロスオーバーした診断・治療のアプローチが求められている.ここでは,とくに①排尿異常,②性器脱について述べることとする.
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